今回はそうした疑問に答えていきます。
この記事を読むことで
ポイント
・会社を買う、とはどういうことか
・実際にはどうやれば会社を買うことができるのか
・会社を買う時の注意点
が分かります。
もくじ
「会社を買う」とは
会社を買う、ということは、「会社株式を買って株主」になる、ということです。
もちろん、会社自体を引き継ぐことになるので、その従業員の方々やお取引先など関係する方々との関係性、会社が築いてきた技術や看板を引き継ぐという大きな意味があるのですが、この記事では、「会社を買う」際の実務面を取り上げていきます。
たしかに、証券会社で株を買うのも、株主になる、という意味では一緒です。
しかし、証券会社で買ったりすることができるのは「上場企業」の株に限られます。
一方で、一般的な中堅中小企業は「上場会社」ではありませんので、証券会社では株式を買ったりすることはできません。
とはいえ、上場企業でも、中堅中小企業でも、株式を買うことはできるのです。
実際に会社を買う方法とは
多くの中堅中小企業では、会社を起業したオーナー、もしくはそのオーナーの親族がその会社の株式のほとんどを持っています。
ですので、そのオーナー一族に対して、株を譲ってもらえるよう話していくことになります。
具体的には以下のような方法が考えられます。
①プラットフォームを使う
②専門家に相談する
③事業承継・引継ぎ支援センターに相談する
プラットフォームを使う
近年、増えてきている「プラットフォーム」を活用する方法です。
「会社を買う、売る」という話はオーナーからすると非常にセンシティブな話です。
自分の人生をかけて築き上げてきた会社を誰かにわたす、という話なのですから当然ですが。
中には「会社の身売り」という表現を使う方までいます。
それほどまでに苦労して、思いをかけて築いてきた会社を手放さなければならないほどまでに追い詰められていたのか…という「負のイメージ」が先行してしまっていたわけですね。
しかし、近年になって国も「M&Aによる経営資源の引継ぎを支援する」という方針の下、中小企業庁主導で補助金を出すなど後押しをしています。
こうした流れもあって、「会社を売ったり買ったりする」ということに対しての心理的な壁は少しずつですが低くなってきています。
そうした環境を受けて、「会社の引継ぎのサポート」を円滑に進めるため、多くのプラットフォームが立ち上がっています。
会社を譲りたい人、会社を譲ってもらいたい人がそれぞれ登録して、相手を探す「マッチングサイト」のようなものですね。
「M&A」「プラットフォーム」でGoogle検索してみると、多くのサイトがあることが分かります。
専門家に相談する
会社を譲り渡す、譲り受けることのサポートをしてくれる専門家に相談することも良い方法です。
専門家には、弁護士、税理士、公認会計士の他、そうしたサポートを専門に行っている「アドバイザー」という方々もいます。
弁護士や税理士といったいわゆる「士業」の方々は、中堅中小企業のオーナー株主である経営者と直接話す関係にいることが多く、重要な相談に乗る機会も多いわけです。
また「アドバイザー」も見過ごせません。
近年はそうした「会社の売買」ということが広がってきているため、多くの人達が業界に参入してきています。
中には「飲食業専門」といったように特色を出して運営されているアドバイザーもいらっしゃるので、他の人ではなかなか知ることのできないような情報を持っていたりもします。
ただし、専門家に相談する際にも注意は必要です。
中には、
注意ポイント
・顧問契約をして顧問料が発生するのにあまり情報をくれない人
・売り主がまだ売る意思を固めていないのに、あたかもすでに決めたことのように伝えてくる人
・「出資」などと言って、方法を難しく見せ、騙そうとしてくる人
なども紛れ込んでくる可能性があります。
もちろん、非常にセンシティブな話なので、いきなり情報を教えてもらえることは稀ですが、関係性を築いておくことにメリットもありますし、相手の意図をさぐることはできるでしょう。
事業承継・引継ぎ支援センターに相談する
日本全国に展開している「事業承継・引継ぎ支援センター」を活用することも一手です。
事業承継・引継ぎ支援センターは、国が全国に設置する公的な相談窓口です。
独立行政法人である中小企業基盤整備機構がサポートしています。
民間の会社やプラットフォームにはそうした相談がしづらい、という経営者の方も多いため、公的な相談窓口に相談される方もいらっしゃいます。
特に、会社の規模が大きくはない場合が多く、個人の方でも相談に乗っていただきやすいというメリットがあります。
会社を買う時の注意点
ここまで、会社を買うとはどういうことか、会社を実際に買おうとした時どのような方法があり得るのか、ということについて解説してきました。
ここからは、実際に会社を買おうとした時の注意点について解説していきます。
結論としては、「専門家に入ってもらいましょう」です。
その理由は以下です。
注意ポイント
・そもそも情報が足りない
・売ろうとしている会社のことが良くわからない
・直接売り主には伝えづらいこともある
そもそも情報が足りない
まず、これまで解説してきた通り、そもそも上場していない企業の株主を見つけ出すこと自体が骨の折れる作業です。
そうした情報を自分で取りに行くことも重要ですが、外部に任せられることは任せましょう。
売ろうとしている会社のことが良くわからない
上場企業でもなければ、内部体制がしっかり整っていない会社の方が多いです。
そうした会社でも、行っている事業はとても魅力的だったり、将来に引き継いでいくこと自体に価値がある会社もたくさんあります。
一方で、いざ会社を譲ってもらおうとしても、何に注意すればよいのかもわからない、というのが実態でしょう。
譲り受けた後で
「こんなはずじゃなかった」
「聞いていたこととずいぶんと違っている」
といったことが発覚してしまったのでは大変です。
具体的に言えば
・決算書上は載っていた在庫が実はなかった
・譲り受けた後になって、未払いの残業代があることが分かった
・半年経ったところで借りていた本社の契約が継続できなかった
など、考えだすときりがありません。
しかし、会社を譲り受ける経験が少ないと、そうした注意点に気が付くのは難しいです。
そうしたリスクを前もってできるだけ洗い出し、手を打っておくためにも専門家への依頼は欠かせません。
売り主に直接言いづらいこともある
多くの場合は「価格」が大きな論点になります。
どんなに魅力的な会社でも、出せるお金には限度がありますよね。
直接交渉していると、角が立って交渉自体が決裂してしまう、ということもあり得ます。
「そんなにうちの会社に魅力がないってことか!」
と気分を害されてしまうわけですね。
そうしたことを避けるためにも、第三者として話をしてくれる専門家の存在はありがたいはずです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では、「会社を個人が買うことはできるのか」疑問に思っている方に向けて、
・会社を買う、とはどういうことか
・実際にはどうやれば会社を買うことができるのか
・会社を買う時の注意点
ということを解説してきました。
会社を実際に買おうとすると、様々なことを考える必要が出てきます。
中でも、会社の財務を見る目は重要です。
もちろん、外部専門家に相談することも重要ですが、自身の目でも判断できるようにしたうえで相談できるようになれば、自分の判断にも自信が持てます。
財務関連については「簿記」を勉強してみることをオススメします。
簿記とは、会社の会計に関する知識をまとめたもので、3級であれば独学でも試験合格は難しくありません。
私は以下の「スッキリわかるシリーズ」で勉強しました。
会社を買う、ということ自体は難しいことではありませんが、その会社を引き継いでいく、ということはとても意義のあることです。
少しでも参考にしていただけるとうれしいです。