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【書評】『人は、なぜ他人を許せないのか』中野信子

みなさん、こんばんは。たんたんです。

 

ここ半年くらい、Twitterやブログなどを始めて、いろいろな方の意見に触れることが増えました。

 

みなさん様々な考えを発信していてとても勉強になります。

 

一方で、自分とは違うな、とか、納得できないな、という発信を見かけることもあります。

 

私は以前から自分で決めたルールに従って意思決定をすることが多く、「自分ルール」が強い人間だと思っています。

 

そうした私なので、

・自分と違う考えの方がどうしても気になる

・そうした方に対して言い返したくなる

・自分の考えで相手を納得させたくなる

ということも多く、感情の浮き沈みも多くありました。

 

こうした状況を何とかしたいなぁと思っていた中で、とても面白い本に出会ったので、ご紹介したいと思います。

 

『人は、なぜ他人を許せないのか』(中野信子、2020年、アスコム)

です。

本書は、脳科学者である中野信子氏が2020年に書いたものです。

 

中野氏は「ホンマでっか!?TV」に出演されるなど、テレビで見かけることもあるので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

 

たんたん
この記事はあくまで私の感想を記したものなので、その点はご承知おきを。。

 

1.「正義中毒」という快楽

 

著者は、

「人は自分が絶対正しい、と思う時に他者に対して攻撃的になり、それによって快楽を感じる」

と言います。

その状態を「正義中毒」だと。

 

たしかに、みなさんにも思い当たる節はあるのではないでしょうか。

 

例えば、

・正義の弁護士が悪徳業者を圧倒的に追い詰めるテレビ番組に爽快感を覚える

・芸能人や政治家のスキャンダルに対して許せないと思う

といったことはないでしょうか。

 

正義感が強い、と言えばその通りなのでしょうが、これがSNSを通じて増長されている様にも感じてしまいます。

 

その上で、

・あの人は許せない

・匿名で懲らしめてやる

となってしまうと、他人だけでなく、自分の気持ちすらもコントロールできなくなってしまい、悩み事が増えてしまっているのではないでしょうか。

 

2.どうすればよいのか

 

そうした状況に対して、著者は以下のような対応策を示してくれています。

 

①一貫性を求めない

②対立ではなく並立

③どうでもいいことという意識

 

それぞれ見ていきましょう。

 

①一貫性を求めない

 

相手に一貫性を求める、ということが落とし穴になり得ます。

 

例えば清純派で人気だった女優の不倫騒動などが典型例でしょう。

 

自分の抱く「清純派」というイメージを相手に求め、それが覆されるようなスキャンダルを目にすることで「許せない」という気持ちになる、ということです。

 

これはたとえ話ですが、その「清純派」というイメージも作られたものであることには注意が必要ですね。

 

②対立ではなく並立

 

それとこれとは違う、だからどちらかが間違っている、ということではなく、それもあればこれもある、という並立に解がある、とも言えます。

 

「みんな違ってみんないい」だと競争のない世界になってしまいかねませんが、いたずらに対立させる必要はないわけです。

 

③どうでもいいことという意識

 

相手に固執してしまうと、変えたく、もしくは自分の思い通りにさせたくなってしまいます。

 

良い意味で「どうでもいいこと」という認識を持つことで、そうした縛りから解放されることでしょう。

 

「自分にとってはそこまで重要ではないこと」、もしくは「自分にとってそこまで致命的な影響を与えるようなものではないこと」と思えることが大事と言えるでしょう。

 

 

3.自分と他人は違う

 

さて、いかがでしたでしょうか。

 

ここからは、本書を読んでの私なりの解釈、考えについて書いてみたいと思います。

 

ずばり、以下の3点です。

 

①自分の考えがあれば相手の考えもある

②攻撃ではなく議論を

③自分の優先度を明確にする

 

それぞれ見ていきましょう。

 

①自分の考えがあれば相手の考えもある

 

当たり前ですが、自分と相手は違うわけです。

 

自分の考えを大切にする、自分の頭で考える、ということは非常に重要だと思いますが、その考えに相手も同意すべきだ、と考えるのは違うと思います。

 

正直、そこがこれまでの私はわかっていなかったな、と。

 

周りにもいないでしょうか、そういう方。

 

同僚や上司といった人から「自分の考えに同意しないなんてけしからん、生意気だ」と言われても気にしないようにしましょう。

 

そういう方々は、自分と相手との境界線があいまいなんだな、と思えば気にもならなくなります。

 

②攻撃ではなく議論を

 

本書の中でも触れられていますが、日本人は「議論」が下手なんだそうです。

 

意見を述べ合い、議題についての考えを深めるのが議論なはずですが、日本人の場合はとかく

「自分の考えに反対するなんて、無礼だ」

「生意気な奴だ」

といった人格攻撃にすぐに発展してしまうのだ、と。

 

相手をやり込めようとするのではなく、どうすればその議題についてより良い考えが出てくるのか、ということに視点を向けたいですね。

 

③自分の優先度を明確にする

 

最後は自分自身の優先度についてです。

 

自分が大切にしたいこと、重要だと思っていることが明確になっていれば、そうでないことについてはかなり余裕が出ます。

 

余裕があれば、仮に周りから攻撃されてしまったとしても「そうですか」と一歩引いてみることができますよね。

 

相手はそれで自分が勝った、と思い溜飲も下がるかもしれません。

 

こちらとしても、(自分にとって)特に重要でないことについてであれば、気にもならないでしょう。

 

4.自分を持つということ

 

いかがでしたでしょうか。

 

本書では、

・人は「正義中毒」にはまることで相手を攻撃してしまいがち

・「正義中毒」になっている人にも苦しんでいる人はいる

・「一貫性を求めない」「対立よりも並立を」「どうでもいいことという意識」で自分を解放する

といったことが述べられています。

 

そこから、

・「自分の考えを持つ」

・「相手に押し付けない」

ということが心の平穏につながると考えられるのではないでしょうか。

 

自分のことを「他人」と比較し、攻撃するのではなく、「過去の自分自身」と比較して行動を変革することで、より良い人生を手に入れることができるのではないでしょうか。

 

・周りの人につい口答えしてしまう

・自分の考えを主張せずにはいられない

・つい口論になってしまう

 

たんたん
そうした方はぜひ本書を一度読んでみてはいかがでしょうか。

 

 

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